満月の銀色ススキ
何処か、似ているのだ。
望月は不確かだがそれを感じていた。

そして、あまりにも違うから惹かれて行く。


(会いたい…)


庭で雀が鳴いている。

外は明るいが、それほど気温は高くない。
望月の部屋は時計を置いていなかったが、たぶんまだ午前中だと思った。

ススキは今、何をしているのだろう。

また眠っているのだろうか。
それとも、何処かで散歩でも。


「…今気付いた」


自分はススキについて、殆ど何も知らない。

好きなもの。
嫌いなもの。

好きなことに嫌いなこと。

何処で産まれてどうしてこの土地にいるのか。

何時も話すのは望月で、ススキは頷いて聞いているだけだ。
ススキのことは聞いたことはない。

何も、知らなかったのだ。
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