満月の銀色ススキ
「……傍にいるよ」
言葉に迷って、出て来た言葉は一つ。
我ながら情けないと、ススキは思った。
こんなときに動かない口がもどかしい。
「…ありがと」
望月は微笑んだ。
嬉しそうに。
ススキは僅かに肩を竦める。
救われている自分に気付いた。
「…何を、話そうか」
「そうね…今日は、ススキさんが話して?」
「何を?」
「何でもいいの。貴方のことなら」
指が触れて。
重なる手と手。
絡められる指。
浮かぶ柔らかな表情。
それを見られるなら何だって話そうとススキは思った。