満月の銀色ススキ
青年の言葉に、望月はまた首を傾げた。
言葉の意図を掴めなかったからだ。

よほどの人見知りなのだろうか。

現に、青年の声に聞き覚えはない。
顔は見られないが、この青年くらいの年齢での髪色に心当たりもない。

狭い田舎、この土地の者なら覚えがない筈がないのだ。

もしかしたら、都会からやってきたのだろうか。
そんな答えを浮かべ、すぐに頭の中の答えを削除した。

都会の人間なら、慣れない田舎で真夜中の街頭の少ない道を歩こうともしないだろう。


「…どうして?」


思考を回転させたまま、訊ねる。

青年はぴくりと震え、またお面を直した。
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