謝罪人 Kyouko
「でも、けじめっていうのがあるだろう。彼女が、ここに来て、別れを告げるのが、俺に対しての思いやりっていうものだろう。そう思わないかい? 」

男の顔は寂しいそうだった。

その表情は、男の強面な印象からは想像できないものだった。

男の言っていることは、正しいと恭子は素直に思った。

男の表情を見ると、女のことを本当に心から好きだったんだと思った。

男は純情なんだ。
そんな純情男を利用した女のほうが悪いと思えてきた。
この人は、純粋に女と過ごしたことが嬉しかったんだ。

そう思うと、なぜ私は、女のために謝罪するんだろうと疑問に思えてきた。






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