謝罪人 Kyouko
恭子は、頭を下げている間、この場から逃げたい気持ちだった。

早く謝罪の仕事を終わらせたい。

しかし、一瞬だが、この男に対しても悪い気がした。

本当は、あんな女の代わりに謝罪するのが正しいとは思わない。

私ではなく、女自身が男に謝罪するべきだ。

少なくとも、女を帰らせたことは失敗だったと後悔した。
もしも女がいたら、男も無理は言わず許してくれたはずだ。
そう思うと恭子は、心から男に悪いと思った。

恭子が、そう思った瞬間、
「もういいよ・・・」
急に男は静かに言った。




< 17 / 138 >

この作品をシェア

pagetop