謝罪人 Kyouko
恭子のクレーム対応は完璧だった。

恭子が、不機嫌な客にすまなそうな表情で謝罪すると、かならず機嫌を直す。
どうして、そんなことになるのか恭子自身もわからなかった。

だが、それが恭子にストレスを作る原因になった。

何か客がクレームをつけると、ホステス達が恭子のところにやってくる。

大げさなことでもないのに恭子に頼ってくる。

ある時、恭子が若いホステスに自分の受け持った客は、責任をもって接客することを指摘した。

すると、『あなたはクレーム処理をする金額をもらっているんでしょう』と、開き直った態度をした。

そのことを店長に相談しても、高いバイト料を支払っているからと、聞き入れてはくれなかった。

そんなこともあり、バーテンダーのバイトを辞めようかと考えた時、ひとりの男が恭子の前に現れた。







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