謝罪人 Kyouko
二人は後部座席に座った。

「今日は、よろしくお願いします」
中居が丁寧に言った。

「こちらこそ・・・」
恭子は不安と迷いを抱えながら言った。


「何か不安でもあるんですか?」
うかない顔つきの恭子を見て、中居が気にかけた。

「いえ・・・別に・・・」
恭子は、中居に気を使わせて悪いと思い作り笑いをした。

車はJR駅前を走っている。
信号待ちで停まる。
フロントガラスの向こう側から、ひとりの女性が車の前を横切る。

女性は久美だった。
久美は、青いカーディガンにジーンズ姿で、店に向かう途中のようだった。

中居の前では、久美と会っていたことは言えない。
そのため恭子は、表情を変えずに久美のことを目で追った。

だが、中居は恭子の小さな行動を見逃さなかった。











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