もしも僕に。



「……はい。すいません…。2日ほどお願いします。はい、ありがとうございます。失礼します」


誰に電話してるんだろう。
随分腰が低い。


「ふぅ…」

電話が終わると南桜は短く息をはいた。


それからキッチンに向かって…何かしているようだ。

その間、私は部屋をグルッと見回した。


部屋は4つはあるだろうか。
両親がいる様子はない。
だったら広すぎる広さだ。


無駄なモノがおいてなくシンプルにまとめてある。

「そんな見ないで。汚いから」

南桜の声と共に“コトン”という音が聞こえた。

私が座るソファーの前のテーブルにマグカップが置かれたのだ。

「ミルクティー。飲める?」

「うん…」

まだ少し出てくる涙を抑えて一口飲む。

「あちっ…」

普通に熱かった。
私は舌をベーとして冷めるようにする。

「大丈夫?今水持ってくる」

少しして水が手渡された。

私は一気に水を飲んだ。

「そんな熱かった?」

南桜はクスクス笑った。

…これが見たかった。
南桜が笑うとどうしようもなくドキドキする。

自然に赤くなる頬。


「顔、赤い」

心配そうに南桜の手が私の頬に触れた。


「………っ…」

やばい、また泣きそう。


「みゆ?」

「なんでもない!大丈夫!」

恥ずかしくてプイッと顔をずらす。



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