もしも僕に。



私は涙を拭いて足早にそこから離れた。

「待てって」

私の行動はすぐに阻止された。

数歩行ったところで南桜に腕を掴まれたのだ。

「ヤ!離して!帰る!」

「当たり前だ。さっさと帰れ」

な!

「………っひ…」

「なんでまた泣くんだよ」

南桜はもう訳分かんないという顔をしていた。

「………ふ…っ……」

涙で視界がぼやけていく。

私は何も言わずまた走った。

…それも阻止された。

「な゙に゙よ゙…」

うまく喋ることも出来ない。

「このまま帰せるわけないだろ」

はぁ?

「来て」

南桜は私の手を掴み人混みの中をグイグイ進んで行く。

な、なに?どこいくの…?

突然過ぎることで言葉も出ない。


「ここ、俺んち」

目の前には立派なマンション。


…はぁぁ!?俺んち!?

なに!何故!

「……帰る」

私は元来た道に体の向きを戻す。

「無理。早く入って」

そう言い終わる前に南桜は私の腕をグイッと掴み家へと入れた。

なに?もう、やだ…。
私、何かしたかな?


そう思うとまた涙が出てきた。

「みゆ、泣くな」

みゆ…?いきなりそう呼ぶなんてズルい…。

私は白いフカフカのソファーに座らされた。

そのあとに南桜は携帯を持って誰かに電話をしている様子だった。



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