もしも僕に。



南桜は溜め息をついて「言いたくないの?」
と一言。


「………うん」


てか言えないの。


「じゃあ無理して言わなくていいよ。でも俺は言うね」

何を?

「夜は1人で出歩かないでほしい。しかも制服だなんて本当にやめて」

「………南桜?」

「なに?」

「なんでダメなの?」

「はぁ…。前も言ったの忘れた?心配だから」

心配…南桜が私を…。

「でも大丈夫だよ!」

「大丈夫じゃない」

「大丈───」

私が言い終わる前に南桜が私の両手首を強く掴んだ。


「早く、逃げれる?」

……無理だ。
力の差がありすぎる。

「南桜、痛い…痛いよ」

「ね?大丈夫じゃないでしょ?」

本当、ね。大丈夫じゃない。


「分かったら俺の言うこと守って」



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