もしも僕に。



私はなんて言えばいいのか分からなくて黙るしかなくて。

南桜は南桜で私の言葉を待っていて。


長い沈黙が流れる。


なんて言えばいいんだろう。
謝る?ううん、違う。

もういっそ好きだって言う?
それも違う。


「南桜は優しいから‥」

沈黙を破ったのは私だった。

予想外の言葉だったのだろう。
南桜は眉間にシワを寄せている。


「俺が優しい?」

南桜が言葉を発した。

「ふざけるな。俺は‥優しくなんかない‥。何も‥」

何かを思い出すようにして表情を崩していった。

私はそこには触れず言った。

「私は優しいと思ったから言っただけ。それだけだから」


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