もしも僕に。


「帰るの?」

南桜は少し下を向きながら問いかけた。

「うん、ただでさえ迷惑かけてるのにこれ以上──」

「帰るなよ」

「‥‥え‥?」

今度は私が眉間にシワを寄せた。

南桜の表情は下を見ているので良く分からない。

「よし!出かけるぞ!行くよ!みゆ!」

南桜は突然立ち上がり叫んだ。

は?え?な、なに?

「でも、みゆは、その格好じゃダメか」

私の格好はほぼパジャマ。
しかも男物の。
私、こんな格好で帰ろうとしてたんだ‥。

「女もんの服なんてねーよ‥」

南桜は隣の部屋でゴソゴソクローゼットを漁ってる様子だった。

そりゃあ有ったら逆にビビるよ。
などと小さいツッコミを心の中でいれ立ち尽くしていた。

「ない!みゆー!スエットでもいい〜!?スエットならピンクあるから!」

あるんだ、ピンク‥。

濃い色のピンクだったら目立つよね‥やだな。

南桜が持ってきたのはうっすーいピンクだった。

「俺もスエットにするからガマンしてね!」

ニカッと笑ってグレーのスエットを見せる。


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