嘘で隠された現実(リアル)
軽音楽部がかつて練習室として使用していたこの場所は、今でもバンドに必要な楽器が揃っている。

Star lieにとって、これほどの練習場所はない。


狭い部屋の床に広がる、沢山のコード。

それを踏まないように注意を払いながら、私は窓に近付いた。

鍵を開け、窓を全開にする。

4階建ての最上階だからなのか、風がとても心地良かった。

グランドからは野球部の掛け声が、程良い音量で風と共に運ばれてくる。


「いつまでそうしてんだ?」


朱月に声を掛けられて振り向けば、彼は椅子に腰掛けた状態で、ギターを手にしていた。


「ごめんごめん。じゃぁ新曲、弾いて?」


「判った」

朱月は小さく頷くと、ギターの弦に右手を置いた。
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