嘘で隠された現実(リアル)
「明日にしてくれ。俺は用があんだよ」


そう言って神楽の横を通り過ぎようとしたが、やはりそれは叶わなかった。


「離せよ」


「この私が、付き合えって言ってるんだけど?」


「‥先約があるから無理」


「先約?」

神楽は鼻で笑った。

「どうせ馬鹿な女と遊ぶだけじゃない」


「さぁな?」


俺がはぐらかすようにそう言うと、神楽は無表情で俺の腕を掴む手に力を込めた。

それは、予想以上に痛かった。


「私は今日付き合えと言っている。同じ事を言わせるな」


今までにない神楽の口調と声の低さ、そして鋭い視線を前にして、俺は諦めるしかないことを悟った。
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