嘘で隠された現実(リアル)
連れてこられた場所は、何とも不気味な店だった。

大通りから外れた薄暗い路地に在るということも理由の1つだが、それを除外しても、魅力的な店には程遠い。

一言で言えば、普通の学生なら、決して訪れようとは思わないような店だ。

この感想は、神楽に対しても、この店の中に居るであろう人に対しても失礼になるが、恐らく10人中9人は、俺に共感してくれるはずだ。


一緒に居ると忘れることもあるが、神楽は本物のお嬢様だ。

そんな人間が、来て良い場所ではないだろう。

それなのに、神楽は躊躇いなく古びたドアを開けた。

来客を知らせる鈴が、小さく音を奏でる。

店内へと足を進める神楽を見ていれば、彼女がこの場所に頻繁に足を運んでいるということは、容易に判断できた。
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