嘘で隠された現実(リアル)
男は飲み物を持って、再び俺達の前に現れた。

赤い液体の入った細長いグラスを神楽の前に置き、そして俺の前には、白い湯気の昇る黒いカップを置いた。

珈琲に黒い珈琲カップという組み合わせにはかなりの違和感があるが、わざわざそれを突っ込む気にはなれなかった。


「当店自慢のブレンド珈琲だ。ブラックで飲めるなら、断然それが旨いぜ?」


そうは言いながらも、男はカップと同じ黒色をした容器を、2つほどテーブルの上に置いた。

それぞれには、角砂糖とミルクが入っている。

どちらも色が白いので、これには黒い容器がとても良く合っていた。


「もういいから、早く出て行け」


「はいはい」

男は仕方がない、と言いたげに肩を竦め、去って行った。


「随分と親しいみたいだな」


「今は、そんな話どうでもいい」


あの男との関係が気になったので尋ねようとしたのだが、相手にされなかった。

どうやら、俺に教えるつもりはないらしい。
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