嘘で隠された現実(リアル)
「自分の本心を押さえ込めばいい。簡単なことだろ」


「簡単じゃねぇよ」

俺は小さく呟いた。

「仮に神楽の言う通り押さえ込めたとしても、いつかきっと限界が来る。そのとき、俺はきっと、もっと天音を傷付けると思うぜ?」


何がいけなかったのだろうか…。

判らない。

ただ、更に怒らせてしまったことは間違いないようだ。

俺は、気付けば濡れていた。

神楽を見れば、先程まで手付かずで置かれていたはずのグラスが、手に握られている。

どうやら迷惑なことに、その中身の水全てが、俺に送られたらしい。


「水掛けることねぇだろ?」

俺は、机の上に有るナプキンで軽く顔を拭いた。
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