嘘で隠された現実(リアル)
「頼み事?」


立花さんは両肘を付き、組んだ両手の甲に顎を乗せた。


「貴方に説得してほしいのよ、水月を…」


「はぁ!?」


「手術を受けるように、ね」


「手術だと…?」

俺は、戸惑いの混じった低い声で呟いた。


「貴方達の会話を聞いて、2人の間の溝がどれだけ深いか思い知らされたわ。けれど、それと同時に、貴方にしか水月を救えないんだってことも思い知った」


何を馬鹿なことを‥そう言おうとして開き掛けた口だったが、そこから言葉を発することはできなかった。

痛いほどに鋭く真剣な立花さんの眼差しには、説明のつかない恐怖を感じたほどだ。
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