嘘で隠された現実(リアル)
「ねぇ‥朱月」


「何だよ?」

俺は、突然弱々しくなった水月の顔を窺った。


「確かに作曲はこっちでもできるけど‥何で日本に戻りたくないの?」


「…」


「大学があるから‥とかって理由じゃないよね?」


「日本に戻りたくないわけじゃねぇよ」

俺は呟き、机に身体を戻した。

「ただ‥日本に帰る理由が‥帰りたい理由が見つかんねぇだけ」


途端に沈黙になる。

その音の無い空間のなかで、背中に感じる水月の視線が痛い。

俺は無視するように、握ったペン先を楽譜の上に乗せた。
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