嘘で隠された現実(リアル)
「星が綺麗だね」

さすがに沈黙は耐えられなくて、私は誤魔化すように空を見上げた。


「ああ」


「星見てたの?」


「んー、どうだろ?」

朱月も、ゆっくりと空に視線を向けた。

「見てるフリをしてただけかもな」


「は?」


間抜けな声がもれてしまったのは仕方のないことだと思う。

それなのに、朱月は自分に原因があることを棚に上げて、遠慮なく笑った。


「笑いすぎでしょ!」


そう言いながらも、本当は少し‥いやかなり嬉しかった。

事実が『自分のことで笑われている』でも、私が朱月を笑わせているのだと思うと、何だかくすぐったい気分だった。

こんなことでも喜べてしまう自分に、心の中で苦笑しながら、私は朱月の笑いが止むのをただ待った。
< 61 / 331 >

この作品をシェア

pagetop