嘘で隠された現実(リアル)
「‥って、そうじゃなくてさ!」

彗ちゃんは、思い出したかのように声をあげた。

「今回はそのアレンジでちょっと目立った変更ができちゃってさ‥2箇所どーしても歌詞が入りきらない部分があんだよね。ほんとにごめん!悪いけど、そこだけ文字数減らしてもらっえねぇかな?」


彗ちゃんは、申し訳なさそうに頭を下げた。

そんな彗ちゃんの姿に、思わず暖かい笑みがこぼれる。


「そんなこと?全然かまわないよ。彗ちゃんの良いように変更して?大したことじゃないんだし、そんな風に頭下げられちゃったら困る」


私がそう言うと、彗ちゃんは頭を上げた。

しかし、彗ちゃんの目は驚くほど真剣で、私は思わず息をのんだ。


「大したことだ。だってこの歌詞は天音っちが真剣に書いたもんだろ?たとえちょっとでも、変えてしまったら歌詞の持つ意味が変わることもある。俺は、天音っちの作品を壊すようなことしたくない。だから、俺が勝手に書き換えるなんてできねぇよ」
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