ふたりごと〜最後の夏〜


「もういいかー?」




病室の扉の前で
座り込みながら
中の優に問い掛けた。




「もういいよ。」




「はいよ。」


片膝をつきながら
立ち上がりもう1度
扉に手を掛けた。




今度はさっきほど
冷たく感じない。




扉を開けると、
ベッドに寝てる優が
見えた。




はっきりと優を見るのが
すごく久しぶりに感じる。




「……怒ってる?」




「だって急に開けるんだもん。」




「だから悪かったって…」




「わかった。今日だけ
許してあげる。」




「ありがとな。笑」



コップに水を注ぐように…



いつしか溢れるかのように…

< 59 / 61 >

この作品をシェア

pagetop