恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~


学校から帰ってきたばかりだったけど、一歩も家には上がらずに制服姿のまま、ダッシュでわが家をあとにするあたしだった―――



      ×      ×      ×



夏の東京の日暮れは遅い。

だから、おにーちゃんの仕事先である遊園地・東京メリーヒルズに到着したとき、まだじゅうぶんに明るかった。


広い広い遊園地の敷地内だったけど、いともたやすくおにーちゃんは見つかった。

3頭身のデッカイ頭をした全身ピンクの超ド派手なウサちゃんの着ぐるみは、どんだけ遠くに離れていても、スグに見つけることができるからだ。


「あ、赤井氏っ」

制服姿のあたしが息を切らして、ピンクのウサちゃんの着ぐるみに駆け寄る。

「おっ、ピンクじゃねぇか。今日はバイトの日じゃねぇだろ?」

ウサちゃんの着ぐるみのアタマの中から、こもったようなおにーちゃんの声が聞こえてくる。

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