恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~

「うん、すっごく美味しい。桃香ちゃん、メイドもだけど、将来、イイお嫁さんになれると思うよ」

「そーですかァ♪」

トレイを胸に抱いてデレデレしながら、カラダをクネクネさせているあたし。

「高校卒業したらどうするの?」

「え? まだ決めてないですけど」

そう答えるあたしに向かって、紫苑さんが言った……すごく自然な感じで。



「じゃあさ、ボクのところに来ない? ボクのために毎朝コーヒーを入れてほしいな」



「そ、ソレって……!?」

その瞬間、ずっと前に再放送で見た、昭和の時代のホームドラマの中のワンシーンが頭の中で再生されはじめた……、

思いつめたような顔をした男のヒトが女のヒトに向かって「俺のために毎朝みそ汁を作ってほしい」って言うと、はにかんだ笑顔で「ハイ」と答える女のヒト……、

そして画面が変わると、次は結婚式のお祝いのシーンに……、

……ってことは、もしかしてコレって……

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