恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~

「やれやれ、分かった、分かった」

その顔が“……ったく、しょーがねぇなぁ”って感じだった。

「なによ、その言い方。あ~ァ、ヤッパこんなヒト好きになるんじゃなかったかも……」

ため息つくようにして言うあたし。

「悪かったなぁ、“こんなヒト”でっ」

そのふてぶてしい態度は、ちっとも“悪かった”なんて思ってるようには見えない。

「なんか自分で自分がヤになっちゃう。世の中にはもっとたくさんの男のヒトたちがいるっていうのに、よりによって、なんでおにーちゃんみたいのを選んじゃうかなァ」

「ホント、お前もそーとーの物好きだな。……つーか、マニア?」

「いわゆるひとつの“惚れた弱み”ってヤツだよ♪ でも、これからはケンカするため以外にもクチを使おうよ? 例えばさァ、キスしたりぃ、キスしたり……あとキスしたりするのなんかもいいかもね♪」

「……って、全部キスばっかじゃね?」

「そーだよ、相手がおにーちゃんなら、あたしキス魔になっちゃうよ♪ だから、これからは外人みたくあいさつ代わりにキスしよ? ケンカしてるヒマがないくらい、いっぱいしようよ♪ ね?おにーちゃん♪♪」

言い終わるなり……、

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