恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
チュッ
……と、2回目の必殺・音速キッス発射!
これからは回数が分からなくなるくらい、いっぱいキスするのかもしれないと思うと、うれしくてスマイルが止めらんない。
気がつくと雨はあがっていた。
ホントはまだあがってほしくなかった。
だって雨降りなら相合い傘ができるから……。
雨上がりの夜空に虹は見えない。
東京の夜空には星も見えない。
唯一見えてるお月さまも、きれいな真ん丸の満月じゃない。
明日のハッピーを予感させる“14番目の月”でもない。
だけど、キスするときにそっと閉じてる瞳のようなカタチをして、夜空に浮かぶ青い下弦の月が見えるだけで、じゅうぶん幸せ♪
大昔のヒット曲の歌詞じゃないけど、このまま家に帰るのがもったいなくて、遠回りして帰りたいくらいに幸せなあたしだった―――