町の片隅で~ファーストストーリー~
「なっ…どうなってんだぁ?」
俺が入った部屋は室温が高く、スプリンクラーが水を適度にまき散らしてる。
しかも足下にはスイカやイチゴなどのビニールハウスで栽培できる作物がゴロゴロ実ってた。
この前季節外れのスイカが出てきたのは地下に温室畑があったからだったんだ。
納得しながらスイカを取ってると、横の部屋から山崎の悲鳴が聞こえてきた。
「ヒィィィ!うわっ!キィヤァァァ!!」
ドタバタと激しい音が響いたと思えばいきなり静かになった。
気になったといえば気になったが、俺にはどうする事も出来ない。
出来ることといえばスイカを抱えて戻ることだけだ。

ぽってりしたスイカを両脇に抱えて廊下へ。
すると、充電切れのロボットのようにうなだれて座る山崎の姿が。
「どうしたんだ?」
「一生分の運を使い果たして帰ってきた…まだ奴らはドア付近で僕を探してる。」
どんな幻覚をみたのかを知る為、スイカを置いて恐る恐る部屋を覗いた。
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