町の片隅で~ファーストストーリー~
「その子がウチとお隣さんの間のスペースから双眼鏡で真也君の部屋を覗いてたんだ。それで注意したらいきなりウチに入ろうとしてきたんだよっ!何なんだ!その子は!」
こいつが何を考えてるのか俺にも分からない。
体にこびり付いてるいかれぽんちをその場に座らせ、おじさんへ近づいた。
「あまり大声では言えないっすが、あいつは昔、酷いストーカーにあってショックのあまり頭がショートしちゃってる可哀想な子なんすよ。許してやって下さい。」
酷いストーカーにあったのも可哀想な奴なのも全て俺の事だ。
あいつの頭がショートしてるのはきっと生まれつきなのだろう。
「そうだったのか…なんか悪かったね、怒鳴って。君から謝っといてくれるかな?」
「分かってもらえればいいっす。俺から言っときます。」
「ありがとう、それじゃ宜しく。」
人情味がある人で助かったが、これからあいつをどうしたらいいってんだ!
「前途多難ってやつだな。」
そう言って笑うしかなかった。
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