聖職者


倒れる二人を見て、凛は一瞬、目を見開いた。

口を開くが、衝撃が強すぎて言葉がでない。

マーキスは凛が二人を見てしまったことを悟ったのか、その身体を離した。

凛の頭の中でイメージしていた最悪の予想がフラッシュバックしてくる。

「・・・これは?」

声が震える。

「・・慎?京さん?」

凛はふらふらと倒れている二人に歩み寄った。

マーキスは何も言わずそんな凛を見つめている。

マーキスは凛と違い、実戦経験は計り知れないほど積んできている。

場数が違う。

故に、倒れている人物を見てその者が生きているのか死んでいるのか、瞬時に区別がつくようになっていた。

悲しい性である。

マーキスはこの二人を見たとき、死んでいると確信したのだ。

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