ラブ・スーパーノヴァ
「そうそう、失礼かと思ったけど、そのレポート読ませてもらっちゃった。興味ある題名だったから。すごく面白かった。倫ちゃん、面白い研究してんだね。」

倫は更に絶句した。

「このレポートの内容・・・わかるの!?」

倫は3年生だったが、優秀だったため、4年生のゼミに参加させてもらっていた。内容は高度な生物学のレポートだったのである。

薫は少し笑って言った。

「全部じゃないけど、なんとなくはわかったよ。科学の論文読むのは好きなんだ。」

倫はめまいがした。

「ねえ、まだ授業あるの?お礼にお茶でもご馳走したいんだけど。」

薫が腰をかがめて倫の瞳を覗き込む。
綺麗な顔が間近に迫って倫はどぎまぎした。
倫は時計を見た。次の授業は既に始まっている。
必修の授業ではないし、正直退屈な授業ではあった。

「もし倫ちゃんさえよければ、うちにたくさん科学系の本があるから見にこない?江戸時代の植物学の書物なんかもあるんだよ。」

その言葉に倫は胸をときめかせた。

江戸時代の本!?何それ!見たい!!

「でも・・・私、まだあなたのこと良く知らないし・・・」

少しは警戒をといたとはいえ、さすがにいきなり家に行くのは抵抗がある。

昨日のあの様子じゃ、女慣れしているし、’お礼がしたい’なんて騙す時の常套句ではないか。

倫が疑わしく思ったのを感じ取ってか、薫は言った。

「家にはたくさん人がいるし、毎日いろんな人が出入りしてるから、気軽に来てよ。
車だからすぐだし、帰りもちゃんと送るから。」

車・・・?17歳が運転なんかしていいんだっけ??
薫が指差す方に目を向けると、校門を出たすぐに高級外車が止まっており、そこには運転手と思われる男性が黙って立っていた。

倫は唖然とした。
う、運転手!?こいつ、本当にお坊ちゃんなんだ・・・。
< 10 / 136 >

この作品をシェア

pagetop