ラブ・スーパーノヴァ
次の日、実験が終わって自転車置き場に向かう途中、倫は何度も知り合いに声をかけられた。

「倫、あんたのこと探してる子がいるよ。どこで知り合ったの。あんな子。」

倫は何のことかさっぱりわからず、探される事柄も思いつかなかった。
自転車で次の授業の校舎に向かおうと乗ろうとした時声をかけられた。

「小山田倫ちゃん!」

倫ちゃん?

誰だ、倫ちゃんなんて呼ぶやつはと振り返ると、昨日の美青年が立っていた。
倫は心底驚いて、自転車ごと倒れた。

「いてー・・・」
「大丈夫?」

青年は倫を軽々と抱き起こし、自転車もひょいと起した。

倫はなぜこの青年がここにいるのか理解できなかった。名前も言ってないはずだ。

「なんでここがわかったの!?後つけてきた!??」

倫は仕返しに青年があれからずっと自分をつけてきたのかと思った。
青年は笑って答えた。

「まさか!・・・はい、これ」

そう言って倫の名前が表紙に書いてあるレポートを取り出した。

「大事なものかと思って。」

倫はレポートをあの時落としていたことに今気がついた。
大学のネームが印刷されたレポート用紙を使っていたため、ここがわかったのだろう。

「あ・・・ありがとう・・・」

そう言って受け取った。

「それから、昨日は本当にすみませんでした。」

そう言って青年は深々と頭を下げた。

「最初はなんで君があんなに怒ってたのか理解できなかったんだ。でも、良く考えたらすごく失礼な態度だったよね。」

倫は予想外の謝罪に面食らった。頬を見ると、まだうっすら赤い。

「ううん・・・私こそあんなに思いっきりたたいて・・・ごめんなさい。」

ぺこりと頭を下げた。
その時目に入ったものに倫は動きを止めた。

「ちょっと待って、・・・それ制服?」
「え?そうだけど・・・。」

倫は改めて青年の顔を見上げた。

「まさか・・・高校生?」
「まさかじゃなくても高校生だよ。そうか、まだ名前も言ってなかったね。九条薫。17歳だよ。」

倫は絶句した。じゅ、17歳!??
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