流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
ふわっと体が宙をまった。馬が、まるでスローモーションがかったように、目の前を走り去って行った。

「大丈夫か!?」

幸姫を抱き抱えた男が、心配そうな顔をして聞いてくる。幸姫はまだ、興奮した表情で、ぶんぶんと首を縦にふった。

「ならばよかった」

ほっとした表情を浮かべて、男が幸姫をそっとおろす。が、あまりの出来事に、幸姫は腰が抜けて、きちんと立てることができなかった。

「大丈夫か?」

男が手を差し出すも、幸姫はなぜ立てれないのかわからず、首を傾げて、ぼうっとその場で座っていた。

「佐助!」

男が誰かの名前を呼んだ。

「ここに」

何もないところから、急に人の姿があらわれる。幸姫はびっくりして、めを大きく見開いて、佐助をじっと見つめた。


かっこいい!!


まるで、玲子と一緒によく見ている、テレビにでてくる忍者のようだと、釘付けになる。

「…わかりました」

佐助は男と2・3言葉を交わすと、そのまま、また、ふっと姿を消した。

「…どうしたのだ?」

不思議そうに男に声をかけられて、幸姫は目をキラキラと輝かせながら答えた。

「かっこいい!にんじゃさんみたい!」

その言葉を聞いて、男は吹き出した。

「それはいい!忍者みたいか?」

腹をかかえて笑う男を、不思議そうに幸姫が見つめると、男ははっと我にかえり、こほん、と咳払いをひとつした。
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