流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
「密輸って言ってましたけど、いったい何を密輸してるんですか?」

軽くタクシーの中でお互いに名乗りあった後は、一言も喋ることもなく、そのままタクシーを降りた。玲子は思い切って、亜姫の父親である正弘に、3人は辺りに隠れることができるような場所がないかを探しながら疑問だったことを聞いてみた。

「…日本刀を主に密輸していました」

正弘の言葉に、玲子と幸村は動きが止まった。

「日本刀?そんなもの、一体どうやって…」

幸村の時代であればまだ可能だろうが、今のこの時代に、日本刀はかなり入手は難しい。

「でも、日本刀なんて…銃なんかの方がよっぽど手に入れやすいんじゃないですか?それに、戦争に日本刀なんて…」

不思議そうに首を傾げて聞く玲子に、正弘は首を横に振った。

「確かに通常はそんですが…」

静かに正弘は話し始めた。

「サルーシアは元々接近戦が得意な民族の集まった国なんです。ゲリラ戦というか…」

確かに日本刀は西洋の剣とは違い、切るために作られたもので、その鋭利さはかなりのものだ。接近戦で発揮されるその威力は絶大だ。

「でも、どこでそんなもの」

言いかけた時、正弘は少し考えたあと、決心した表情で2人に言った。

「信じられないかもしれないんですが…」

ふぅ、と正弘は息をつくと、2人をじっと見つめて口を開いた。

「ワールドヒストリ。聞いたことありませんか?」

その言葉に、玲子の体がびくっと反応する。

「あのゲームは、殺人ゲームとしてこの世から姿を消しました」

思い出す過去の記憶。玲子はぶるっと体を震わせた。

「ですが、日本中であれだけ話題になったゲームです。会社が運営していたサーバーとは別に、新たにサーバーを誰かが設置し、密かに運営を続けられていました」

ぎりっと歯を食いしばる玲子。幸村はそんな玲子の姿を、少し心配そうに見つめた。

「ある時、私の勤めている会社のある人間が、そのゲームを利用すれば、好きな時代・場
所に行くことができると言い出したんです」

「えっ…」

思わぬ言葉に、玲子は眉を顰めた。

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