月の雫 -君と歩む彼方への道-
無数の光の玉がもたらすレイジュラのこれまでの生涯を、オレは一瞬で次々に体験していた。



成績表でのみレイジュラを評価していた両親。

「成績が下がると認めてもらえない」と、ただひたすら追い立てられるように努力しているレイジュラ。


その優秀さを親に認められるとうれしい反面、成績表でしか自分を見てくれない孤独にさいなまれ……

そのストレスはまだ幼いレイジュラの内面を少しずつむしばんでいた。



(そうか、レイジュラは天才なんかじゃない。

途方もない努力をしてきた男なんだ。


――親の愛を獲得するために。

親に認められるために。

「優秀じゃないと愛されない」と思ってたから)



自分が何をしたいのか。

自分が何を目指しているのか。どうなりたいのか。


そんなことを考える心の余裕なんてまるきりなかった。



ただ、ひたすら、親に褒めてほしいがために、親の敷いたレールにしたがって、優等生であり続けた。


優秀であればあるほど、親はレイジュラに期待をする。

そんな悪循環にはまっていた。
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