月の雫 -君と歩む彼方への道-
さすがに寝ているときまでフードはしていないらしい。

銀色の豊かな髪がふわふわと広がっているさまは、まるで月の光がこぼれたようで、見事な眺めだ。


オレはついつい見とれてた。




ほんの少し開いた薄い色の唇から、顔に似合わないしゃがれ声が漏れた。


「そんな……つもりじゃ………なかったんだ……」


(こんなにうなされるなんて、一体どんなひどい夢を見てるんだ)


美しい顔を苦しそうに歪めて、白い額に大粒の玉の汗をにじませて。

シーツをまるで命綱であるかのように細い指でぎゅっとつかんで、苦しげにうんうんうなされているシルヴァイラの肩を、オレはそっと揺さぶった。
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