初恋のキミへ。

普段通りに



4月。

今日から晴れて3年に進級した。

嬉しいことに、未波は退院した。それは未波から言い出したことで、最初はまだ無理しない方がいいと言われていたけれど、それを大丈夫だからと押し切り、3年の始まりから、俺たちは肩を並べて、今までと同じ学校への道のりを歩くことができた。

何ら前と変わりない日常だけど、ただ未波の表情が無くなってしまった。変わったのはそれだけだ。

警察沙汰になったのは確かだけれど、それを学校の奴らは全く知らない。そうなったのが未波だと言うことが公になっていないからだ。

だから未波も学校へ来る気になったんだろう。

俺はまた未波とこうして並んで歩いていることに幸せを感じている。

一度、離れようとした未波を必死で繋ぎ止めようとした。

それは、失いたくないという一心で情けなくても、惨めだとしても、こうして今、一緒にいられているのだから、結果、あんだけ必死になってよかったと思える。
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