初恋のキミへ。


「元輝くん、まだ未波を忘れられない?」


いつものように大学の食堂で昼飯を3人で食べていたとき、ふいに桃香ちゃんがそう聞いた。


「どうかな」


俺はそう答えた。

本当は未だに好きだと言いたい。けれど、気を使わせてしまいそうでそう言った。


「…弥生のこと、どう思う?」


「どうって?」


「こんなこと言いたくはなかったよ。だけどあたしなりに考えた。未波は元輝くんに幸せになってほしいって、きっといい人が現れても相手にしないだろうから、あたしが背中押してあげてって…言ってたんだ。

弥生は本当に元輝くんが好きなの。

あたしだって未波が元輝くんとまた戻れたらって思ってる。
だけど…未波はそれを望んでるかな?

4年経った今、未波はどういう気持ちなのか分からない。

だけど元輝くんは幸せにならなきゃ…

ね?少し考えてみて?」


そう言われ、お互い授業に戻った。

確かに未波の気持ちなんて分からない。

いつ帰ってくるかさえ分からない。

だけど……

俺は未波以外、好きになれるだろうか……?
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