初恋のキミへ。
「…初めて好きになった女の子だ。
それくらい弥生ちゃんも分かってくれるさ。
………これは言おうか迷ったんだけど―――」
「なんだよ」
「未波ちゃん、もうじき帰ってくるかもしれない」
「はっ?」
タケの言葉に取り乱している自分がいる。
「1週間前に、桃香に連絡がきたんだ。
やっと治すことができたって。
連絡が取れなかったのは医師に止められてたらしい。
思い出が邪魔して治るのも治らない体になってたみたいだ。
お前のこと気にしてたって…
元輝は幸せにやってるかって。
桃香も正直に話したらしい。
そしたら何て言ったと思う?
良かった。ずっと心配だった。
少し寂しいけど、幸せならあたしも幸せ。
嬉しくて泣いてたってよ。
元輝…お前がどうするかはお前次第だ。
ずっと、未波ちゃんも想っていたのは確かだ。
だけどそれと同じくらいお前の幸せを願ってたんだ。
お前には今、弥生ちゃんがいる。
それがどういうことか、よく考えろよ?」
そう言って教室から出ていった。