初恋のキミへ。
「桃香?あたしは毎日幸せだった。
幸せだったから、みんなの幸せを一番に願ってたの。
今はみんなが幸せだって分かるから、嬉しいの。
みんなが幸せだから、あたしも幸せだよ」
未波は笑顔でそう返した。
未波はなにも変わってない。
自分より人の幸せを一番に願う未波が俺は大好きだった。
それは今も変わらないんだ…
「未波ちゃん、ありがとう。
そろそろ未波ちゃんの幸せを俺たちに願わせてよ」
タケが真剣な表情でそう言った。
「…あたしね?今、本当に幸せだよ?
みんなに会えたし、みんなが幸せそうで。」
「それは未波ちゃんの幸せじゃない。
………モト、お前はこれでいいのか?」
「ちょっと!今この人は関係ない!」
「俺は、ちゃんと自分の気持ちに素直になれって伝えたいだけだ!
未波ちゃん…モトと話をしてくれないか?
モトもちゃんと話せ。
それからでも遅くない。
俺らは帰るから、よく話し合え」
そう言って桃香ちゃんを引っ張って帰っていった。
きっと俺のために2人にしてくれたんだと思う。
だから誰にも邪魔されないような春休みの高校の教室を桃香ちゃんは選んだ。
2人でとっさに決めたんだろう。
その気遣いに、俺は凄く感謝した。