初恋のキミへ。


「…なんかあったのか?」


「は?」


「いつもより元気ねぇだろ」


「いつもと変わりないんだけど」


「いや、ぜってー元気ねぇ!」


俺がそう言うと何故か下を向いた。


「どうかしたのか?」


「………」


「おいっ!」


「ふふっ。顔間抜けなんだけど」


そう言って初めて俺に笑顔を向けてくれた。


その笑顔にきっと俺は顔が赤くなったと思う。


そして初めて女にドキドキした。

この時確信した。

俺は未波に惚れてるんだと…


「笑うなっつーの!
心配して損したじゃねぇか」


きっと照れ隠しだったと思う。

こんな自分に戸惑いを隠せなかった。


「あんたでも人の心配するんだ」


「お前それひでぇぞ。
俺だって心配くらいする」


「…そう。まぁありがと」


そう言って今度は
俺の目を見て微笑んでくれた。

"やべぇ…反則だろそれ"


俺はそう思いながらも目を背けなかった。

初めて俺を優しい目で見てくれたから。

目が離せなかったんだ。
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