初恋のキミへ。


「ねぇ?」


未波が俺を見て聞いてきた。


「なんだよ」


「…人を好きになったことってないの?」


「あ?」


「女遊びしてるなら、ないのかなって」


「あぁ…ないな。
女はみんな俺の外見を好きになるからな。
そんな女、本気にはなれねぇ」

"好きになったのはお前が初めてだ。"


「…じゃあ1度も?」


"今までならな。"


「あぁ」


「…寂しくない?」


初めてそんなことを聞かれた。


「…分かんねえ」


「………」


「…なんで黙んだよ」


「…本当寂しかったんじゃない?
だからいろんな子と遊んでる。
違う?」


本当は寂しかったんだと思う。
俺の中身を見てくれる女はいなかったから。

だからヤケになって、
女とやりまくってたんだ。

だけど素直にはなれなかった。

そう言ってくれるお前には。

本当は物凄く嬉しかったのに。

そんなことに気づいたのは
お前だけだったから。


「寂しくなんかねぇ。」


「私なら寂しいけどなぁ。」


「お前だからだろ」


「…そっか」


少し寂しそうに言って立ち上がった。


今日は珍しく話しかけてくる未波に
やっぱり何かあったんじゃないかと
思ってそればかりが気になった。
< 36 / 227 >

この作品をシェア

pagetop