初恋のキミへ。


ユウトの家の前につき、チャイムも押さずに中に入った。

そして部屋の前につき、タクミが思い切りドアを開けた。

目の前に広がる光景は信じがたい光景だった。

まるでドラマの中にいるかのような雰囲気だった。

だけどこれは現実。

私の目に映る亜紀の乱れた服、そして亜紀の上に乗り、体を動かしていたであろうユウトの姿があった。

なにがどうなっているのか理解しきれなかった。


「どーいうことだ」


と怒りに狂ってるタクミ。

未だに黙ったままのユウト。

ただ泣いている亜紀に対して、あんたが泣くとこじゃないだろってツッコミたくなったけど、そんな言葉でるはずもなく…

「私がいけないの。
ユウトがずっと好きだったのに…
タクミを選んだから」と泣き続ける亜紀に
少し苛立ったが更なる追い討ちが私を襲う。


「俺がいけねんだ…
ずっと好きだった時にタクミと未波に会って…
タクミが亜紀を好きなことに気づいて
その気持ちを消して未波を好きになったんだ」


そう口を開いたユウトにタクミは殴りかかった。

それを止めようとする亜紀。

私はただ黙って見てた。

まだこれが現実だと信じられなかったから。


「未波もなんか言ってやれ!
お前本気でこいつのこと好きだったろ?」


そう言われて初めて涙が出た。
タクミだって辛いはずなのに…

だけど私は


「タクミ…帰ろ…」


そう言って部屋を出た。

後からタクミも私を追ってきてくれた。

そのお陰で少し安心できた。
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