初恋のキミへ。

初デート



7月下旬。世間は夏休み。

あれからあっという間に夏休みに入った。

そして今日は未波と初デート。

待ち合わせより少し早く駅前に着いてしまった。

昨日は緊張してなかなか寝付けなかった。

こんなに緊張するのもこの先未波だけだろう。


「元輝!」


愛する人の声がする方を見た。

未波の私服姿に思わず見惚れてしまう。

栗色の長い髪をいつものようにふんわりカールしてあって、薄く化粧がしてある。

可愛らしいワンピース姿の未波。


「早いね?」


「そーか?」


楽しみで早く来てしまったことを隠すように平然を装った。


「どこ行くの?」


「行きたいとこあるか?」


「ん〜…元輝とならどこでもいいよ」


不覚にもそんな言葉にドキッとした。
未波からそんな嬉しい言葉を言ってくれるなんて…


「…っ、可愛いこと言うなよ」


「照れてるの?」


「照れてねぇ」


「ふふっ。」


俺に向けてくれる笑顔がなによりも嬉しい。

こんな風になれるなんて、未だに夢を見ているようで、幸せすぎる俺。

いつまでも未波の笑顔を隣で見ていたいと思った。
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