太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
静かに寝息を立てる忠志の隣に、寄り添う様に私は体を横たえた。

狭い布団に2人で横たわる私と忠志の隙間は、掌ほどさえも無く、それは冬でも穏やかな暖かい温室の空気に似ていた。


付き合ってから2年分の忠志が吸う6ミリ分の煙草のタールせいで、うっすらと広がる夕焼けみたいに薄茶色にすすけた白いコンクリートの天井だけが私の上にぼんやり見える。


辺りは湖の様に静かだった。

その空気につられる様に私も目を閉じた。



眠りながら涙を流す人を私は初めて見た。

父さんは母さんの書き置きを読んだ時、何故だか寂しそうに微笑んだだけだったんだ。


私にはその書き置きを読ませてはくれなかったけど。


父さんは何処かへ電話した後ーー、父さんと私は、母さんが作ったカレーライスを食べて、今の私と忠志の様に並んで寝たんだ。




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