太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
バアちゃんは、紺がすりの厚いつなぎを来て、背中に網目の大きな籠を背負っている。


籠の中には、バアちゃんが昔からビニールハウスで大切に育てている、まるで太陽から産まれ出た様なみずみずしい命を保った野菜がいくつか見えた。


少し曲がった背中の、大きな籠を揺り動かしながら、その小さな歩幅を目一杯私のために動かして、近付いて来る。


「ミナト、何かあったか?。」


バアちゃんは、昔から私の心配、しかしないんだ。


久しぶりに帰って来た私を、バアちゃんはまるでほうずきみたいな小さくて優しい目で覗き込む。


七十二歳のバアちゃんの瞳は、前に会った二年前よりも、一層シワを湛えている。

その心配そうな瞳が一瞬で、冬を覆う暖かな布になって私を包んで行く。


「うん。ごめんね。驚かせて。」


そう言う私の肩に、バアちゃんは穏やかな速度で、ゆっくりと優しく触れて、


おかえり、

と小さく笑った。



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