太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
午後二時を差す、柱時計。

その古く、大きな柱時計の音は、昔から私を上から見下ろして、呼吸をする様に平然と、重い深い音を鳴らす。

私の座る、十畳の居間。

バアちゃんが座る、お気に入りの竹座椅子。

縁側に目を向ける。

寒空を抜けてやって来る太陽の光が集まって、その先に広がる庭を輝かせている。


午後の柔らかな空気が、その縁側の大きな窓から伝わってくる。


私の足元に広がる、夕暮れみたいにすすけ、色を変えてきた畳の黒い染みを、

私は足を抱えて、右手で優しくなぞった。



「ミナト。おめえが、美智代さんの事聞くのは、これで、二度目だな。」


バアちゃんは、台所に立ち、私には背を向けてそう言った。


バアちゃんの作る、私の好きなカボチャの煮物が、その独特の甘い香りをまとって、ヤンワリと私の周りを囲む。


私は、できる限り自然を装い、母の現在の居場所を、バアちゃんに尋ねた。


年賀状の事は、話していない。


バアちゃんは、母の居場所を知っているのだろうか。


バアちゃんは、私の問いに何も答えずに、

ただ静かに台所に立って、カタカタとカボチャを煮始めただけだった。

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