太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
男は股に西瓜を置いたまま、大きく足を開いて煙草を吸っていた。
母は見覚えのある、気に入ってよく着ていた、白くて薄いワンピースを、西瓜の滲み出る汁と種で赤黒く染めている。
静かに目を閉じて、男の股に置かれた西瓜を、その男の開いた両足の間でうつ伏せになって、赤い破片をむさぼり口に入れている。
母は少しだけ口元を優しく緩ませ微笑んでいた。
その母の顔はまるで安堵に満ちた、安らかな死顔の様に私には映った。
母のそんな穏やかで幸せそうな顔を、私は今まで見た事が無かった。
種。
母が西瓜を口に含んだ後、赤くて透明な西瓜の液と共に種が母の口から落ちて、畳の上に怠慢な速度で流れ落ちて行く。
母の口元からまるで産まれ出る様に流れ落ちる、種。
お母さん。お願いします。
種は私なんです。
だからお願い。
私を捨てないで。
私は貴方にとっては限り無く、無用な種なんでしょうか。
母は見覚えのある、気に入ってよく着ていた、白くて薄いワンピースを、西瓜の滲み出る汁と種で赤黒く染めている。
静かに目を閉じて、男の股に置かれた西瓜を、その男の開いた両足の間でうつ伏せになって、赤い破片をむさぼり口に入れている。
母は少しだけ口元を優しく緩ませ微笑んでいた。
その母の顔はまるで安堵に満ちた、安らかな死顔の様に私には映った。
母のそんな穏やかで幸せそうな顔を、私は今まで見た事が無かった。
種。
母が西瓜を口に含んだ後、赤くて透明な西瓜の液と共に種が母の口から落ちて、畳の上に怠慢な速度で流れ落ちて行く。
母の口元からまるで産まれ出る様に流れ落ちる、種。
お母さん。お願いします。
種は私なんです。
だからお願い。
私を捨てないで。
私は貴方にとっては限り無く、無用な種なんでしょうか。