破   壊
葉   子
 久し振りの連休。

 このところ、休みの一日は、彼の事で忙殺されて、まともに休めなかった。

 裁判は、予想以上に長引きそう。

 検察側の質問になると、彼は意図的なのか、毎回支離滅裂な証言をする。

 今のところ、私からの質問は、事実確認だけなのだが、私の質問には、彼は素直に答える。

 時には、得意げに犯行状況を話すものだから、裁判員の中には顔をしかめる人も居た。

 この前など、検察側からの資料で、遺体を切断した時に使用した鋸やナイフ等の凶器がスライドで出された上に、被害者の身体の一部まで証拠として見せられた。

 あそこ迄する必要があるのだろうか。

 事件や、犯人によっては、それも有効な判断材料になるとは思うが、彼の場合は寧ろ逆効果のような気がするのだ。

 実際、彼は目を輝かせてそのスライドを見つめていた。

 公判が始まると、彼からの手紙が頻繁に来るようになった。

 このところの内容は、事件とは余り関係の無い事ばかりだ。

 それに、私が殆ど返事を書かないものだから、その事を責めても来る。

 やたらと運命という言葉も書かれるようになった。

 面会の時など、私が弁護士になったのは、僕と出会う為だとまで言って来た。

 背筋に悪寒がした。

 よく堪えてると自分でも思う。

 そんな中での連休。たまには息子に手料理をと思い、朝から買い物に行こうと思っていたのだが、身体が睡眠を求めていた。

 私は、睡魔に負けた。

 明日はちゃんとしなきゃ……

 うとうとしているうちに、二度寝をしてしまい、私は夢を見た。




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