破   壊
 誰もいなくなった面会室で、私は暫く動けないでいた。

 彼からの呪縛に解き放たられる迄、私の両手はスカートの裾を握りしめ、震える腿を抑え付けていた。

 私は、急に恥ずかしさが込み上げて来た。

 掌や、腿の内側がじっとりと汗ばんでいたのは判ったが、下着の中が、それとは違うもので濡れていると気付いたのだ。

 スカートまで濡れていないかと思わず手をやる私。

 漸く立ち上がり、面会室を出ようとするのだが、歩く度に、私は自分の秘部がぬちゃり、と音を立てている気がして、ちゃんと歩けなかった。

 拘置所を出、近くにコンビニが無いか捜し回った。

 ぐるぐる歩き回り、漸く見つけたコンビニで下着を買い、トイレを借りに走る私。

 買ったばかりの下着をその場で穿き変える事を恥ずかしがってなどいられなかった。

 店員の視線を無視し、トイレの中で新しい下着に穿き変えた私は、やっと心が落ち着いた。

 絶対に来たくない、もういやだ!

 心の中で、もう何度となく叫んだ言葉が、この時も溢れていた。

 でも、絶対にそうならないだろうと、私はこの時に感じたのだ。

 理由もなく……





< 65 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop