俺様の飼い猫。
「おい、行くぞ。」

スポンジに手を伸ばしたところで、いつのまにか寝室から出てきた御堂さんに声をかけられた。

「あ、はい。」

タオルで手を拭いて急いでカバンを持つと後ろを着いて部屋を後にする。
フローリングの上を走って追いかけてくるひなのカチャカチャという足音が近くで聞こえる。
先に靴を履き終えた御堂さんを待たせないように急いで靴をはくためにしゃがむと、行かないでとでも言うようにひながすり寄ってくる。

「じゃあね、可愛がってもらうんだよ。」

よしよしと軽く頭を撫でてあげる。
カバンをしっかり持って立ち上がって玄関を出ようとして、前にいるスーツを着た御堂さんの背中にぶつかった。

「日奈子…。」
「はい…?」

ぶつかった鼻をさすりながら後ろ頭を見上げた。

「ひながいたら、これからも家来るか…?」
「へ…?」
「だから、これからも家来るかって。」

相変わらず御堂さんの表情は後ろからじゃもちろん見えないわけで、あたしは見上げたまま固まっていた。


「来ていいんだったら…来ます。」

そう答えれば、「そうか」と小さく聞こえて、さっきまで張っていた肩がほぐれたような気がした。
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